キミはキラキラ、

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正しい音程で歌う、について

これはあくまで私のイメージです。

歌が苦手で、「すっごい下手くそ♡」と学生時代に言われた私のイメージです。信頼しないでください。

伴奏者としていろんな歌手のレッスンについて行って思ったこと。

 

「音程合ってないねー」「音程がなぁ」「上なった時の音程外れてない?」

歌番組があるとちょこちょここういう感想を見かけます。

ピアノをやっている人間からすると、よくそんなに簡単に音程について口出しできるなぁと思います。ピアノは鍵盤を押せば(調律がズレていない限り)必ず正しい音程の音が鳴ります。しかし歌は、自分で音程を作らなくてはいけません。

歌に限らずヴァイオリンなどの弦楽器もそうですが、私は自分で『音程』を作り出す人たちをめちゃくちゃ尊敬しています。ピアノを弾く私には不要な『音程を作る』という練習を必ず行わなければいけないからです。

正しい音程を出すことは大切なことです。でないと周りの音楽とズレてしまうし、美しい音楽が崩れてしまうから。

では、『正しい音程で歌う』とは具体的にどういうことでしょう。

 

私は、自分の声を正しい音程で発することは、【的当て】のようなものだと思っています。

声=ボール、音程=的、です。

まず、音によって的の場所が異なります。

 

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画力がない自覚があるので申し訳ありませんが、この線一本一本が的、黒丸が私が立っているポジションだとします。

右の的にいくほど高い音、左の的にいくほど低い音だと思ってください(本来音程は「高低」であり前後左右は全く関係ありませんが、図式上ではそうさせてもらいます)

 

私はこの黒丸の場所から的に向かってボールを投げます。的の大きさは大体ボールと同じぐらいか、ボールより一回りほど大きいかなぐらい。一番右の的に当てると一番高い音、一番左の的に当てると一番低い音が鳴ります。

当然、左右どちらであれ一番遠い的に向かって投げるにはパワーが必要です。距離が遠い分、的に命中させるのもむずかしくなります。

自分から遠い的に投げるのと自分から近い的に投げるの、どちらが簡単かは言うまでもありません。

 

(的に近づいて投げればいいんじゃない?と思うかもしれませんが、今回はそれは考えないこととさせてください(笑)

性別によっても人によっても異なる声帯の長さ、つまり人によって出しやすい音が異なることを表したいのです💦)

 

さて、黒丸は私ですが、みんながみんな黒丸の場所に立っているわけではありません。人によって立っている場所は異なります。そしてまた、それぞれ立っている場所から動くことができないものとします。

 

私はNEWSが好きなので、NEWSの3人が立っている場所をなんとなく図に書いてみます。

(紫=小山、緑=加藤、黄=増田)

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小山さんがかなり低めより、増田さんが大体真ん中ぐらい、加藤さんがほんの少し高めより、といった感じでしょうか。

ちなみに先日脱退してしまった手越さん(桃)も加えるとこんな感じ。

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かなり高めよりにいます。

 

例えば小山さんと手越さんがそれぞれと場所から一番右の的にボールを当てようとするのでは、難易度が異なると言うことです。

もちろん手越さんが簡単なことをしていると言いたいわけではありません。手越さんがたくさんトレーニングをして肩を鍛え、より遠く(右)に投げられるようになったことをよく知っています。

ただ、同じ努力量では小山さんと手越さんでは命中率に差が出てしまうと言うことです。

同じようにそれぞれの場所から一番左の的に当てようとする時にも同様に、小山さんと手越さんでは難易度が異なります。小山さんの方が命中させやすくなるはずです。

 

何が言いたいのかというと、人によって当てやすい的、つまり発声しやすい音の高さが全く違うのです。もちろん肩を鍛えることでボールを遠くに投げられるようになるのと同じように、練習すれば少しずつ出せる音域は広がっていきます。が、当然限界があります。

練習しすぎると肩を壊すように、喉だって潰れます。

 

ジャンルを問わず、歌手はみんな狙った的にボールを当てられるようにたくさん練習しています。ただ的に当てるだけではなく、投げたボールの放物線がより美しくなるように工夫し考えています。

「音程が…」とすぐに口する人は、歌手の立ち位置をきちんと見ていますか?

もちろん音程に当てることはとても大切ですが、実はその人がとんでもなく遠いところから的を狙ってボールを投げていたりすることもあることに、気付いていますか?

 

 

ところで、先ほどから「ボールを投げて的に当てる」という表現をしていますが、そもそもこのボールは普通のボールとは少し違います。

こんなボールを想像してみてください。

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(自分で描いといて目玉焼きの図…(笑))

黒い部分がボール(=声の芯)、周りのボワボワしたものは、柔らかくてあたたかいもの(=響き)だと思ってください。

想像しにくい場合は硬いボールの周りに柔らかいスポンジを何層も重ねているようなイメージでも大丈夫です(もっと形の曖昧なものの方が適していますが…)

歌う時、声というボールを投げる時にそのボールの周りに響きを纏わせて投げます。的に当たった時に「ゴツン!」とただ痛々しくぶつかるのではなく、ポン柔らかく跳ね返ってきたりふわりとそのまま的に吸収されるように。

 

先ほど「的の大きさは大体ボールと同じぐらいか、ボールより一回りほど大きいかなぐらい」とチラッと書きましたが、目玉焼き図の黒い部分と同じぐらいか一回り大きいぐらいの的を狙ってボールを投げることになります。

ピンポイントに黒いボールを的に当てるのは、至難の技です。的に近かったとしてもむずかしく感じる人もいるかもしれません。

そんな時、ニアピンとしてこの周りのボワボワが的を覆っていればまぁOK!とする場合があります。

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的を赤で描いてみました。

黒いボールは的の右上を掠めていますが、周りは的をすっぽりと覆っています。

例えばドの音を狙って声を出した時、ドより少し声が上擦ったとしましょう。しかし出した声を纏う響きがしっかりとドを覆っていた場合、人の耳はそれをなんとなく「ド」と認識します。

 

もちろんボールが的のど真ん中をぶち抜くのが大正解だし、ほんの少し耳のいい方なら少しズレていると分かります。しかし「許容範囲」のズレです。

ボールが的を大きく外れ周りのボワボワが少し的に掠っている…だとアウトです。すっぽり覆って初めてニアピンになります。

たとえはアップテンポな曲で次々とボールを投げなくてはいけない時。フォームを整えてしっかり的を狙って投げたら当たるボールも、次々と忙しなく、しかもあっちの的にこっちの的にとどんどんボールを投げなくてはいけない状況になるとむずかしくなってきます。そういう時には周りのボワボワを当てることで限りなく正しい音程に聞こえることがあります。

逆に、ゆったり聞かせるバラードだとこれはほとんど通用しません。確実にボールの芯を的に当てないと、投げる球の数が少ない分目立って気になってしまいます。

 

 

NEWSはよく「力のこもった歌」を届けてくれます。少々音程が外れていても気にならない、むしろそれがいいというファンの声もよく聞きます。そういう時は大体これです。

ボールの周りのボワボワがしっかりと的を捉えてくれているので、投げたボールが的を少しズレても「パワーのあるピッチングだった!」と評価することができます。

これがすっかり的をすっかり外れた大暴投になると、どれだけパワーがあってもなかなか人に評価されるのはむずかしくなってきます。

 

手越さんは、ボールを的にピッタリと当てる技術が半端ではありません。アップテンポだろうがバラードだろうが関係なく、百発百中必ずと言っていいほど当ててきます。遅いボールを投げても速いボールを投げても必ず当たります。

これは努力です。

 

増田さんは声を覆う響きがとにかく大きい。だから「音が外れた」と感じることがほとんどありません。

もちろん的にしっかり当たることがほとんどだけど、的をズレでも確実に周りのボワボワが的を捉えてくれます。

 

こういうところがテゴマスは対極で大好きなところでした…

 

小山さんは声を的に確実に当てるようになってきました。それと同時に声を纏う響きも少しずつ大きくなってきています。

加藤さんは逆に、声を纏う響きがどんどん大きくなってきて、声を的に当てられる割合も増えてきました。

似ているようで少し違うのが、なんとなくニュアンスで伝わるでしょうか…

ただここ最近は2人ともほぼ確実にボワボワの中に的を入れます。だから私は音程が悪いと思ったことはあまりありません。

 

あとは投げ方によって声色が変わります。

ストレートで投げるのかフォークで投げるのか、ストレートなら当たるけどフォークだと外れる、とか、とにかく多種多様な投げ方で的を狙うのは大変です。

加藤さんで言うとストレートが普段の歌い方、ファルセットがフォーク、といった感じでしょうか。ストレート(普段)では当てづらい高音がフォーク(ファルセット)だと綺麗に当たったりします。

 

一般的に歌をうたう時、ボールを的に当てることだけを考える人が多くなりがちです。

だけど実は投げ方が重要だったり、その投げ方だと的を狙いにくくなったり…

歌って本当に奥が深くてむずかしいものです。

 

 

手越さんがいなくなってしまったけれど、NEWSはもっと歌が上手くなります。

3人ともまだまだ的を狙えるし、ボールを纏う響きももっともっと大きくなるし、新しい投げ方も身に付けていくと思います。

 

これからのNEWSの歌が、とてもとても楽しみです。